自転車乗車時の腰痛についてお話します。
「自転車に乗っていると腰が痛くなるんです。」という相談が時々あります。
まずは忘れることです。
お話を聞くと「◯Km過ぎた辺りから痛くなるんです」ということ
もしかしたらメーターを見なかったら痛くならないかもしれません
とは言え本当に痛いかもしれないので一応チェックすることはあり
①「動かし過ぎ」「動かなさ過ぎ」?
身体は「動かし過ぎ」ても「動かなさ過ぎ」ても痛くなります。
ダンシングの方が腰の筋肉をほぐすこともあれば痛くなることも。
これは強度と量にもよります。
シッティングで腰が痛い人もいます。
②身体がかたい?
股関節の屈曲可動域が足りなくて体幹の側屈動作を入れてペダリン
サドルを上げれば側屈は解消されますがペダルに足が届かなくなり
③そのスキルになる身体の状態?
体幹部の動きは、股関節の屈曲可動域が大きい人は小さいし、小さ
「動き過ぎ」なのか「動かなさ過ぎ」なのか、
「動き過ぎ」はスキルの問題なのかそのスキルになる身体の状態な
④かたくて弱い?
大体そもそもかたいです。それと、漕ぐ力が弱ければ身体を捩りま
かたいし弱いしではどこかが痛くなりそうです。
(けど気にしないと痛くないかもしれません…)
ストレッチングをしてウエイトトレーニングをしてスキルを上げて
思春期の子に起こりやすいものに思春期腰椎分離症があります。
これは上下の関節突起間部に起きる疲労骨折です。
中学生くらいの子で身体を反らすと痛い場合は分離を疑います。
思春期分離は下肢の硬さが影響していることが多いです。
特に股関節屈筋群の硬さが原因となるので予防のためにもストレッチングは有効です。
疲労骨折を早期に発見できた場合は骨癒合が期待できますが、
スポーツ選手に多い腰椎分離症は思春期分離が偽関節化してしまったものであり骨癒合することはありません。
分離は5つある腰椎のうち、第4、5腰椎に多くみられます。
左右の分離で偽関節になってしまうと腰椎すべり症に進行することもあるので、早期発見、早期治療で骨癒合を目指します。
ただ骨癒合が得られず、偽関節になったとしてもスポーツ選手をあきらめる必要はありません。
スポーツ選手の約30パーセントに分離がみられるというデータもあります。
一般の人にも約5パーセントあるそうです。気づいてないことも多いです。
大殿筋の伸長性の低下のため股関節内旋による骨盤の回旋が上手くできず、
腰椎に回旋ストレスがかかっていることもあります。
また、バッティング練習や素振りの際、マスコットバットという通常より重たいバットを振ることがありますが、
この練習も回旋によるせん断力が分離のリスクを高めます。
またフォロースルーの際、最後まで両手でバットを握っていることも負担が大きくなります。
ちなみに振る力を付けようと重たいバットを振るのは腰椎への負担が大きいだけで、
狙った効果は得られないというなんとも残念な練習です。
その他、伸展ストレスによるせん断力による分離も多くみられます。
伸展ストレスを減らすには大腿筋膜張筋、腸腰筋の柔軟性が、回旋ストレスを減らすには大殿筋の柔軟性が必要です。
画像検査でヘルニアや変形が見つかることがあります。
ただ痛みの原因ではないこともよくあります。
ヘルニアは約4分の3のひとにあるといわれていますが、4分の3の人が症状があるかといえばそうではないのです。
変形が痛みの原因であるなら一生痛いはずですが、多くの人は痛くなくなります。
画像検査でショックを受けない人の方が治りが早いといわれています。
腰痛といっても様々ですが、急性腰痛について書きます。
SNS等で誰かがぎっくり腰になった旨の投稿をするとご丁寧に「冷やしてね」や「安静にしてね」とコメントがつくことがあります。
ガイドラインに沿って書くと、温熱のエビデンスグレードはBです。
Bというのは、行うのを推奨する。中程度の根拠に基づいている。です。
アイシングはでてきません。
安静のエビデンスグレードはなんとDです。
Dというのは、推奨しない。否定する根拠がある。です。
ガイドラインも年々変わりますが、一昔前のアドバイスを真に受けてこじらせないようにしたいものです。
野球やゴルフなど、身体を捻るスポーツはたくさんありますが、
おすすめできない練習があります。
それはイスなどに腰かけてバットを振ったり、パンチを出したりするものです。
なぜかというと、腰椎は前後方向にはよく動くのですが、回旋方向にはほとんど動きません。
では、スイング系の動きはどこで行われているかというと股関節と胸椎です。
イスに腰かけた練習だと股関節を使えないのでその他の部位の負担が増します。
なんとなく腰をよく使えるようになりそうだからよさげな感じもしますが、繊細な競技動作を狂わせるし、そもそも腰に悪いし。
安全でかつ効果的な方法は他にありそうです。