ほとんどの投球障害は良くない投球フォームに原因があります。
良い投球フォームをとりたくても、身体的な問題でとれないことも多くあります。
やりたいことがそもそも間違ってることもあります。
急速に身長が伸びる時期は、柔軟性を低下させ、投球フォームに影響を与えます。
指導者はフォームを見るのはもちろんですが、指導者が言っていることが出来ない身体なのか、言ってることがそもそも間違っているのかも常に確認しながら進めていく必要があります。
スポーツの練習に先立ってやっておく必要のあるものにアライメントのチェックがあります。
アライメントとは各関節や骨の並びのことです。
ほとんどの故障の原因はマルアライメント(不良アライメント)のため局所的に負荷が集中したため起こります。
練習を休んで痛みがなくなったとしても、以前と同じフォームで練習を繰り返すとまた痛くなったりします。
スポーツが上手くなりたかったら良いフォーム、良いフォームにしたかったら良いアライメント。
アライメントも動的と静的があって、動的に良くなりたかったら先ず静的に良くある必要があります。
真っ直ぐ動きたかったら真っ直ぐ立つ必要があります。
真っすぐ立てない奴は真っすぐ寝れません。
だからと言って就寝時に気を付けの姿勢で寝てくださいって話ではありません(笑)
姿勢を作っているのは筋。動的も静的も。
筋に目を向けましょう。
肩が痛くて困っている野球少年は大勢います。
ボールを投げないだけで治ってしまうケースはたくさんあります。
もちろん投げない間も傷めた原因を考えてアプローチして、二度と傷めないようにしていくのですが。
投げながら治すというのはないと思っていいでしょう。
膝の痛みで悩む方は多いですが。
なにせ体重のかかる関節なので常にメカニカルストレスにさらされています。
そのメカニカルストレスを減らすため必要なことと言えば体重を減らすことですが、一日に何キロも落ちるものではないです。
太ってるって言ってるみたいで減らせとはなかなか言えないし。
その場で負担を減らすためにできることは正しい動作をするということですが、
御本人は正しいというか普通の動作をしているおつもりでいることがほとんどです。
けど実際には足首、膝関節、股関節、体幹部など結構不安定な動きになっています。
膝関節は足首、股関節の間にある関節なので両方の影響を受けます。
足首、股関節の状態を良くすることで膝の状態も良くなっていくことが多いです。
安静にして炎症がおさまったとしても足首、股関節の状態が悪いとまた痛くなることもあります。
ランニング障害は使い過ぎによっておこるものが多いですが、片方の脚だけに出ることが多いです。
右だけ100歩、左は80歩とかではないのに。
いろいろとチェックすることがありそうです。
まずはフォームの問題があげられます。
ただ御本人は左右対称の動きをしているつもりのことがほとんどです。
左右対称の動きにならない場合はそもそもじっとしているときの姿勢が悪いことが多いです。
じっとしているときの姿勢はよくても少し負荷をかけると片側だけ崩れることがあります。
左右の筋力差はないのが理想とされています。
筋力差の原因が不良姿勢に起因することもあるのでトレーニングの前にすることがあります。
道路の傾斜やトラック等の回る向きも考えることのひとつです。
小児期の肘の内側上科顆靭帯付着部の剥離骨折はリトルリーガーズエルボーと呼ばれます。
小児期は剥離骨折が完全に治癒していなくても数週間で痛みがなくなることがあるので治ったと思いがちですが、青年期になってより力強い投球をするようになると、内側の不安定性のため痛みが出てくることがあります。
靭帯部分の損傷は中学生以降に出てくることが多いです。
中学生、高校生では慢性型が多いのに対し、大学生以上になると急性型が多くなります。
小学校高学年から中学校の成長期に起こる脛骨粗面の部分的な剥離のことをOsugood‐Shlatter病といいます。
ジャンプの着地などで骨盤の前傾がおこなわれなかったり、
足関節の背屈が十分に行われなかった場合、
大腿四頭筋による脛骨粗面部への牽引ストレスが大きくなり
引き起こされるとされています。
大腿四頭筋の柔軟性を確保することと、骨盤、股関節、足関節を含めた動きづくりが必要です。
投球動作での腱板損傷は関節包面で起きることが多いです。
コッキングフェイズで最大外転、外旋位のとき上腕骨頭は外旋しながら下方へ転がり運動と滑り運動がおこるため
大結節も後下方へ位置が変わります。
大結節の位置が変わるのに伴って棘上筋も下方に走行が変わるのですが、その時に関節窩上縁がエッジとなり、
関節包面と関節窩上縁との摩擦で腱板の関節包面の損傷が起きるとされています。
このような現象はinternal impingementと呼ばれています。
ランニング愛好家によくみられる腸脛靭帯炎。
サイクリストにもみられます。
股関節外側から脛骨のGerdy結節に付着する腸脛靭帯が、膝の屈伸運動で大腿骨の外側顆の上を移動する際の摩擦で炎症をおこすものです。
オーバーユースに加え、O脚など内反モーメントが高くなるとなりやすいといえます。
ランニングではミッドサポートで痛みが出ることが多いです。
サイクリストの場合はそんなに内反モーメントは高くないので、痛みが出る人は自転車のシューズのインソールもいいかもしれないけど、普段の靴のインソールを見直すといいかもしれません。
SLAP lesion(上方関節唇損傷)はピッチャーによくみられます。
投球時に上腕二頭筋腱に牽引、回旋などの負荷がかかることで
上腕二頭筋腱が関節唇関節唇とともに骨から剥離してしまう病態です。
コッキング期からアクセレレーション期に痛みが出ます。
高校生から大学生に多くみられ、投球時以外では痛みが出ないことがほとんどです。